日本最大級のものづくりカンファレンス

Part.2 システムレベル検証

設計現場に適した解析ツールとは?

ここ近年、システムレベルでの解析のニーズ高まっており、特に最新技術を支える電子機器の設計ではEMC/PI/SI/熱の問題が大きく取り上げられています。一度遭遇すると手戻りが大きいこの問題への対策としてフロントローディングの必要性が叫ばれている一方で、そのためのツールを活用できるのは解析専任部隊に限られる傾向にあります。

 

設計部隊と解析専任部隊とがサイロ化され、設計と解析のタスクが分断されてしまうことにより、本来の目的であるフロントローディングの効果も薄れてしまいます。解析技術者は設計データに存在するはずの情報を活用せずに、解析用の準備工程として重複して情報を構築し、一方で設計者は解析結果を受け取ってもそれをどのように設計修正に反映させるべきか、設計修正後の次の解析で収束するのかなどの指針もないまま設計を修正しなくてはならないという弊害が起きています。これら課題を解決し設計効率を向上するためには、設計者による解析検証のワークフローを確立することが急務となっています。

そのような状況において、図研が考える設計者のための解析環境は、設計から解析、検証、修正が一体となったCADシステムです。そのポイントは、設計者のホームグラウンドである基板CADが中心となること、付帯業務となる解析のための準備作業が少ないこと、そして解析結果を活かした設計を支援する機能を提供することです。

 

設計を支援する解析機能

インピーダンス整合の解析では、定量的な評価と定性的な評価ができるように解析機能を提供しています。
定量的な評価では、DRC的評価として、差動信号に対して平行配線のカップリングが成立している割合や差動インピーダンス目標に対する割合、設計ルールへの準拠の割合など、Field Solverに基づいた数値的なレポートを出力することができます。トロポジ評価では、配線情報から電気的情報を抜き出すことができます。
Design Force 2019.0では、TDR解析としてインピーダンススケールにも対応する予定です。

 

経路途中の差動スキューチェックでは、設計をスクリーニングして複数信号やスキューグループを評価し、配線上の変化点、例えば線幅が変わったところ、層が変わったところ、配線の分岐点などに着目してスキュー値をレポートします。

 

クロストークスクリーニングでは、並行配線が長いものを抽出するのではなく、Field Solverを実行してスクリーニングし、配線結合度を計算した上で危険箇所のアラートを出す機能を提供しています。

 

EMC検証では、設計しながらEMCの課題を未然に防止するために、ルールベースデザインの考え方を取り入れ、原理原則に基づき、知識のない設計者でも活用できる機能を EMC Adviser EX で提供しています。

 

EMC Adviser EX のルールのひとつに、ノイズ的に強い影響力を持つ部品の影響範囲を複数基板にまたがって考慮・チェックする機能があります。2019.0ではこのルールをさらに強化し、「面のビア不足」という干渉の影響を小さくするためにグラウンド面に充分なビアが打たれているかどうかも考慮するようになります。
ルールベースデザインを行うことで、解析の知識を持たない設計者でもEMC対策を行いながら設計をすることができます。

 

このように、ルールベースデザインの考え方を取り込むことにより、設計から解析、検証、修正が一体となった基板CADシステムを実現し、設計者が解析結果をその場で活用しながら設計を進めることができるようになります。解析専任部隊が行うタスクは、シミュレーションによって問題がないことを確認することが主な目的となり、組織として設計効率を向上させることにつながります。

 

パートナー企業との連携

さらに効率的なシステムレベルの検証として、パートナー企業の解析ツールとの連携に注力しています。
近年、エレキの世界でもシステム化3D化の解析検証ニーズが高まり、エレキCADとメカCAEとのシームレス連携が求められています。Design Force 側でメカCADの情報を取り込み、解析ツール側に渡すことで解析準備時間の大幅な短縮を図ることができます。将来的には、ホームグラウンドである基板CADのDesign Force の上に解析結果を描画して、解析設計者が使うことができる環境を提供しようとしています。
その第一弾として、ノイズ研究所様の「空間電磁界可視化システム」の実測結果をDesign Force に取り込み、EMC Adviser EX の結果も合わせて描画し、実測結果を設計データへ重ねて表示できる仕組みを提供しています。